「モラルハザード」の意味や関連する保険、どんな時に使われるかを徹底解説!
モラルハザードとは?
保険契約や制度の“安心”が、逆に倫理観の低下を引き起こす現象
モラルハザード(moral hazard)とは、本来の意味は「道徳の危機」や「倫理の欠如」ですが、保険や経済の分野では、保険に加入していることなどによって安心し、故意または無意識にリスクの高い行動を取ってしまう状況を指します。
たとえば、医療保険に入っているからといって健康管理を怠ったり、自動車保険があることで安全確認をおろそかにする行動などが、モラルハザードの具体例です。
モラルハザードの意味と由来
「モラル」は道徳・倫理、「ハザード」は危険・リスクという意味を持ちます。組み合わせると「倫理的リスク」と訳されることもあります。1600年代に欧米で使われ始め、1800年代にはイギリスの保険業界で広まりました。
現在では、保険業界のみならず、企業経営、医療、政治、金融などさまざまな場面で使われる言葉です。
保険業界におけるモラルハザードの例
- 自動車保険に加入しているからとスピードを出しすぎて事故を起こす
- 実際には入院していないのに、医療保険の請求をする
- 火災保険金を得るために、自宅に放火する
これらはすべて、本来起きてはならない“倫理に反する行為”であり、保険制度の信頼を揺るがす深刻なモラルハザードです。
その他業界でのモラルハザード
- 不採算企業が倒産を回避する努力を怠る
- 経営者が高額報酬を得ながら経営責任を果たさない
- 診療報酬目当てに不要な薬を処方する医療機関
これらも、制度の裏をかく形で行われる不正行為や無責任な対応として、モラルハザードと呼ばれます。
モラルハザードの例文
- 例文1. モラルハザードは「道徳的リスク」や「倫理欠如」を意味する。
- 例文2. 保険に加入しているという安心感がモラルハザードを招くことがある。
- 例文3. 職業倫理が問われる警察官や消防士の不正も、モラルハザードの一種とされる。
- 例文4. 保険用語としては、契約者が意図的に事故を起こす行為がモラルハザードに該当する。
- 例文5. 社会制度や企業文化が、モラルハザードを助長しない仕組みになっているかが重要だ。
モラルハザードの会話例
-
保険のパンフレットを見てどうしたんですか? 加入するんですか?
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うん。実は損害保険の自転車保険に加入しようと思っていて。
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それなら、自転車盗難に遭ったと申請すれば新しい自転車を購入できるんじゃないですか? 賢いですね!
-
私はそんなモラルハザードみたいな事はしません! 第一、それって犯罪だからね。
利用事例:日常に潜むモラルハザード
保険加入による安心感が逆効果を生む例として、以下のようなケースがあります。
- 医療保険に加入後、生活習慣を気にしなくなり暴飲暴食や運動不足に
- 禁煙に成功していた人が「病気になっても保険がある」と考え、再び喫煙
これらの行動は一見個人の自由ですが、多くの人が同様の行動を取れば、保険会社の財務に影響を与え、保険料の値上げや制度改変につながる可能性もあります。つまり、「無自覚なモラルハザード」も問題視されるべき行為です。
関連保険・関連用語
関連保険:損害保険、医療保険、自動車保険
関連用語:モラル、倫理、リスクマネジメント、保険詐欺
まとめ
モラルハザードは、制度や仕組みに甘えた結果、個人や企業が不適切な行動を取ってしまう現象です。特に保険業界では、制度の信頼性を守るためにも、契約者のモラルが極めて重要です。すべての人が制度の裏をかこうとせず、健全な社会を維持するために、倫理観ある行動が求められています。