繰延(くりのべ)
「繰延」も一般人には馴染ない言葉ですが、これは保険用語だけでなく証券や会計学用語としても用いられます。意味はどの用語でも基本的には同じで文字通り、期間や期限の延長となります。それでは、保険業界では特にどの様な意味があるのか、調べてみました。
繰延の意味とは
「繰延」は、延長や先に延ばす、持ち越すという意味になります。これを保険会社の個人年金に当て嵌めると、年金支払開始日を1年間など先延ばしにするのが「繰延」です。本来は年金を受け取れるにも関わらず、敢えて「繰延」するのは、税金支払いを抑える節税が目的の場合が大半です。高齢者でも一定収入があり、さらに年金まで受け取ると税金が多くなるので、それなら年金をもう少し後から貰うようにした方がお得だからです。生命保険の場合でも、受取人の相続税を減少させるテクニックとして、保険金受取を「繰延」する方法を利用する人もいます。公的年金の場合は、受給開始は原則65歳ですが、これを繰り上げて60歳から受け取れ、反対に繰り下げ(繰延)は70歳まで可能です。繰り上げて早く貰うと、それだけ年金は減額されるが、繰り下げは逆に増額されます。繰り上げと繰り下げは、どちらもメリットデメリットがありますが、健康で仕事や貯金に余裕があるなら、一般的には繰り下げの方が単純に年金がその分で増えるので、結果的にはお得となります。
繰延の種類
公的年金の場合は、老齢基礎年金と老齢厚生年金で繰り上げと繰り下げ(繰延)受給ができます。65歳で受給できるのを70歳にした場合は、最大で42%も年金が増額されます。
繰延の文章・例文
例文1.叔父は年金を繰延する事で、銀行に預ける利子よりも断然お得だと鼻息を荒くした。
例文2.年金は繰延する方がお得だが、現在の高齢者は繰り上げで早く貰う方を選ぶようだ。
例文3.繰延は節税のメリットもあるのを意外に知られていない。
例文4.会社の会計でも、費用や収益などを繰延すると使われる。
例文5.証券用語には繰延資産があり、特定の費用を当期にしないで来期以降の資産として費用計上する事だ。
「繰延」を使った保険・会計・証券業界の例文となります。
繰延の会話例
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年金を受け取る場合って、繰り上げと繰り下げってどっちがいいんだろうね。
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私は一刻も早く楽をしたいから、繰り上げで貰いたいな。
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繰り上げだと、年金額が損するんでしょう。それなら、繰延で延長した方が良くない?
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その為に今から貯金をするんじゃない。年を取ってから働きたくないよ。
職場の同僚男女が、将来の年金受取について会話をしています。
繰延の利用事例
国民年金の受給額の例として、65歳で受け取ると受給率100%で年間受給額は約78万となる。これを繰り上げて64歳で受け取ると受給率94%で約73万、60歳にすると受給率70%で約55万となる。反対に繰り下げ(繰延)て66歳にすると受給率108%で約84万、70歳にすると受給率142%で約111万となる。
繰延の関連保険
「繰延」の関連保険には、「国民年金」「厚生年金」「私的年金」「個人年金」などが挙げられます。
繰延の関連用語
「繰延」の関連用語には、「繰上」「繰下」「据置」などが挙げられます。
繰延まとめ
「繰延」とは、証券業界や企業会計などでも使われる専門用語ですが、保険会社の年金や公的年金などの場合は、本来受け取れるのに一年後などに先延ばしする事です。公的年金は原則65歳から年金が受け取れますが、それを「繰延」して遅らせる事で結果的には受給率が上がり年金を多く受け取れます。また、節税というメリットから、敢えて「繰延」をする場合もあります。
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